2015年11月16日月曜日

若頭の若頭的こゝろ〜No.1 天龍源一郎引退〜

前回の投稿から約3ヶ月。
なんだかんだ暑い季節から今や寒くてストーブが必要な季節になりまして・・・。

毎月更新するはずのブログもかなりのブランク。

しっかりせい!とお叱りもちょくちょくありますが、しゃあない過ぎたもんは振り返れんと半ば開き直りで今月からスタート。月一雑感記事。若頭的こゝろだー!と。



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時というものは素敵なものを残してくれる。
僕自身ヲタクというものをライフワークにしてから、いろいろなものを積み重ねてきたと思う。
AKB劇場に行って公演を見に行く回数。推しメンのもとへ行く握手レーンへの数や思い出、いろいろな機会を経て増える友人たちや交友関係。

それは確実にこれからも大事にしたいものだ。

しかし、時というのは残酷なものも残していく。
仕事を辞めたはいいもののフリーターであり続けた時間、推しメンの卒業で友人と合わなくなる時間、体力の衰え、Gainしていく額・・・。

若輩者であるはずなのに、ちょっとした変化に凹む。
生きていくスパンの中で若いと言われる時間も砂時計の一粒ですら愛おしくなっているのだなと時折思う。
ある意味、アラサーのリアルである。


そんな中で、今日プロレス人生にピリオドを打ったレスラーがいる。天龍源一郎 65歳。
角界から1976年にプロレス転向。そこから39年間走り続けた。
いろんな団体を駆け回り、いろんなことに挑戦し・・・各団体で獲得したタイトルは、
シングル王座 4回 タッグ王座 17回 リーグ戦 4回優勝
プロレス大賞MVP 4回(2年連続受賞も!)ベストバウト 8回
といった完全無欠の「ミスタープロレス」
バラエティー番組で見せる滑舌の悪いおっちゃんは只者ではないのである。

そんなレスラーが最後の相手に指名したのは、オカダ・カズチカ 28歳。
現在の新日本プロレスのIWGP王者。
鍛え上げられた肉体で今の地位にたどり着き
端正なマスクで女性ファンを多く持ち、
今のプロレス界の復権の多大なる功績者であり、プロレス界に金の雨を降らせるレインメーカー」
つまりは今のプロレス界の顔だ。

引退試合は大抵6人タッグマッチでその選手ゆかりの人間と試合をして華やかに終わる。
それが今までの見方だったし、なぜ最後に37歳も離れた現役バリバリのチャンピオンとシングルマッチでやろうとするのか不思議でなかった。

思えば、僕が初めて天龍源一郎を見たのは2001年の全日本プロレスに戻ってきた頃。
あの頃は全日本が分裂して、ちょうど新日本と対抗戦をやっていた時期だった。
寡黙で多彩な蹴りと投げ技を持っていた川田利明が僕は当時大好きで、三冠王者になってほしいと思っていた。
しかしそれを当時51歳と思えぬ強さで阻止していたのが天龍選手で。
グーパンチ、逆水平、顔面蹴り、スパイダージャーマン、パワーボムに高い打点の延髄蹴り・・・最初に抱いた天龍選手への想いは憎たらしさだとはっきり覚えている。

あれから14年。最後のサンダーストーム。
いつの間にか見なくなっていた黒のパンツに黄色のリングシューズの姿が。でもあの時と何かが違う。
腰にコルセット、細くなった足、弱々しい足取り…。
その時に改めてあの時の憎たらしいほど強い天龍選手は時間によって過ぎ去ったのだと実感した。

そして、ゴングは鳴る。
変わらない逆水平、グーパンチ、そして顔面蹴りを繰り出す。
だが、オカダ選手が強さと勢いで天龍選手を飲み込んでいく。
しかし、エルボーやドロップキックで天龍選手は倒れても、倒れても、起き上がって返していく。
あの頃みたいにスパイダージャーマンはできないけれど、
あの頃みたいなパワーボムはコーナーを利用しなきゃできないけれど、
あの頃のような高さの延髄蹴りは今になっては低くなってしまったけれど、
そこには今を一生懸命戦う天龍選手がいた。
そして気づいたら僕は泣いていた。

何度倒れてもロープにつかまり立ち上がり、ロープを背負いながら奮闘し続けるも最後はレインメーカーで敗れた。
「あー!負けた!」
引退セレモニーの前にマイクでそう絶叫していた天龍選手。
悔しさの中にもそれはやりきった快感が混ざっているような気がした。
6人タッグマッチで華やかに終わることもできた。でもそれをせずに今のトップレベルの選手とのシングルを引退試合として選んだ。
それは天龍選手が最後まで今ある力を最大限に出して終わりたかったからこそのオカダ・カズチカ戦だったなと思う。

最後に。この先には必ず辛いことや頭をもたげたりすることがあると思う。
そして自分ダメだな・・・って思うことも。時の残酷さにも対峙することだって。
でも、今を大事に、一生懸命やり続けなきゃいけないんだなぁって今日の試合を見て思ったし、「まだまだお前若いんだからもっと頑張れよこの野郎!」って天龍選手に言われたような気もしました。笑
現状の中で、やれることを大事に。一生懸命に。
そういう気持ちにさせてくれる天龍源一郎選手の引退試合でした。
最後に天龍選手お疲れさまでした。

それでは来月のこゝろで・・・。

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